インターネットが登場したことで、消費者は膨大な情報や商品の選択肢を手に入れました。企業やその商品・サービスが選ばれるためには、競合と比較されたうえで「こっちのほうがいい」と思ってもらえる「選ばれる理由」が必要です。
AB3C分析は、そんな「選ばれる理由」を明らかにするフレームワークです。フレームワークとは、思考の補助線のようなもの。決まった手順に沿って考えると、「選ばれる理由」を見つけ出すことができます。
すでに「選ばれる理由」となるような強みや特徴を持っているなら、AB3C分析でそれを上手く表現できます。まだ「選ばれる理由」がないなら、どのような強みや特徴があれば「選ばれる理由」になるのかを分析できます。AB3C分析は、インターネットを脅威からチャンスに変える武器なのです。
AB3C分析は、株式会社ゴンウェブイノベーションズ代表・権 成俊が考案した戦略立案フレームワークです。
もともと世界的に有名なコンサルタント・大前研一氏が提唱した3C分析というフレームワークがあります。Customer(顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)の3つの視点で事業を分析するもので、モノ不足からモノ余りの時代へと移り変わる中で、競合を意識しなければ価格競争に陥るということを示唆したフレームワークです。
インターネットの登場によってさらに競争が激化する中、ウェブコンサルタントとして活動する権は、3C分析にBenefit(お客様が求める価値)とAdvantage(差別的優位点)という要素を加え、AB3C分析として定義しました。
AB3C分析はインターネット超競争時代の戦略立案において、「何が明らかに違うか」を明確にすることを目指しています。インターネットマーケティングに非常に効果的であり、それ以外のあらゆる事業戦略立案にも活用できるフレームワークです。
AB3C分析の出発点は、お客様を定義することです。売り上げを大きくしたいと思うと「誰でもいいから買ってほしい」と思いがちですが、インターネット社会においては、たくさんの人にとってのベターな商品ではなく、誰かにとってのオンリーワン商品になる必要があります。
そのためには、まずお客様が求める価値「ベネフィット」を理解することが重要です。ベネフィットとは、お客様がその商品を購入することによって得られる価値のことです。
まだ欲しいものが曖昧な状態の欲求。「友達とお酒を飲みたい」「家で晩酌したい」など。市場は大きいが、販売努力が必要。
具体的に欲しいものが決まっている欲求。「アサヒビールが飲みたい」など。価格比較をして最も安いところで買う傾向がある。
人の欲求は「ニーズ」から始まり、情報を入手することで具体的な「ウォンツ」に発展し、購入に至ります。「ニーズ」「ウォンツ」の幅の中のどの段階でお客様にアプローチするかが重要です。
お客様が商品を購入するとき、いくつかの条件を組み合わせて商品を選択しています。これらの条件を比較するのに戦略キャンバスという表現が便利です。お客様が比較しているであろう条件を並べて、自社と競合の程度を比較します。自社の方が有利な条件を見つけ、それを重視しているお客様にターゲットを絞り込むと、選ばれやすくなります。
お客様に選ばれるためには、まずベネフィットを提供できることが前提です。しかし、ベネフィットだけでは「選ばれる理由」にはなりません。同じベネフィットを提供する競合がいるからです。そこで必要なのが「好ましい違い=アドバンテージ」です。
例えば、青いビールを開発したとします。明らかな違いではありますが、これを選ぶお客様は少ないでしょう。比較しているベネフィットに含まれないので、好ましいと思わないからです。一方、無農薬原料を使った体への負担が少ないビールなら、健康を気にするお客様にとって「好ましい違い」になります。
インターネットの時代にはすぐに他社に真似されてしまいます。そのため、アドバンテージは自社の強みに根差した真似されにくいものでなければなりません。自社の特徴を掘り下げるとき、3段階で考えます。
特別な技術・ノウハウ・原料・設備など。他社でも簡単に手に入るものでは、アドバンテージは長く維持できません。
規模・仕組み・体制など、競合が真似しにくい構造があるか。小規模であることが逆に強みになる場合もあります。
経営者の価値観がビジョンを生み、日々の行動を生み、商品を生み出します。価値観の違いが最も真似されにくい強みになります。
インターネット社会では、たくさんの人にとってのベターな商品ではなく、誰かにとってのオンリーワンになる必要があります。お客様を絞り込むことで、訴求すべきメッセージが明確になります。
競合とは、お客様が自社の商品と比較する相手です。ウォンツ段階のお客様は同業他社と比較しますが、ニーズ段階のお客様は異業種とも比較します。
自社の強みを3段階(具体的強み→構造的特徴→パッション)で掘り下げます。いまは強みと言えるような特徴がなくても、オリジナルの価値観が見つかれば、それをベースに強みを生み出せます。
AB3Cが成立したら、これを商品やウェブサイトなどのデザインにつなげましょう。BenefitとAdvantageの二つを合わせて戦略メッセージと呼びます。
ウェブサイトを制作するとき、TOPページのメインビジュアルでこの二つを表現することを考えましょう。AB3Cが明らかになれば、デザインによってどのようなメッセージを伝えればよいかが明らかになり、事業戦略とデザインが直結します。
一言で言える。一目でわかる。
根拠のある強みに基づいている。
明るい未来を目指して頑張れる。
AB3Cが完成したと思ったら以下の点をチェックしましょう。実際はこれらの要素の間を行ったり来たりしながらAB3Cを描きます。
お客様を絞り込むということは、見込み客の一部を切り捨てるということ。そこには痛みが伴う。誰を切り捨てたか。
欲しいのはドリルではなく穴であり、さらに穴をあけたい理由がある。ウォンツだけではなく、ニーズまで掘り下げたか。なぜなぜ5回。
同業他社だけではなく、ニーズに基づく異業種との比較の可能性まで考えたか。TVの競合はスマートフォンである。
いまある強みだけではアドバンテージを生み出せない。アドバンテージを生み出すために、必要な強みを生み出すことから考える。イノベーションは1手ではならない。2手目ではじめて差別化できる。
アドバンテージは「明らかな違い」でなくてはならない。一言で言える。一目でわかる。程度の違い、バランスの違いでは伝わらない。